【読了】コンセプトのつくりかた

コンセプトのつくりかた



少しダラダラと読んでしまったので簡潔に。

コンセプト = ビジョンの集合体 + アイテムの集合体

ビジョンの集合体:何をしたいか?(理由としてのWhy)
アイテムの集合体:何を用いるのか?(How)


「~したい」というビジョンと「~を使う」というHowの2つからコンセプトというものを導き出します。
Whyというのは企業として、もしかすると固定なのかもしれません。もしくは部門ごとに違うものなのかもしれません。

今回本書ではコンセプトを導き出すプロセスとして、1つの「コンセプトワーク」の流れを例示しています。
コンセプトワークは簡単に言えばKJ法です。

そのKJ法をサポートするためにメンバーへ質問するポイントとしては以下。

・逆に言うと、どうなる? さらに突き詰めていくと、どうなる?
・悪いことを「絶対に避けられないこと、それが真実だ」と過程すると、どうなる?(ゲームは不健康。など)
・立場をずらしたら、どうなる?(友達なら?奥さんなら?同僚なら?行為を行う側/行われる側なら?)
・関係のない物事を無理やりつなげてみるとどうなる?(ゲームの話の中に、料理の話)
・悪いことについて「自分も悪いことをしている」と仮定すると、どうなる?(それは自分たちにも言える?)
・本音としてはどう?/建前としてはどう?
・2つの悪いことを掛け合わせる(または同時に引き起こす)と、どうなる?(ゲーム脳&ネトゲ廃人)
・時期をずらしたら?
・ドラマ・小説・映画・アニメ・音楽に例えたら?
など。

Whyというのは意外とはっきりしていると思うけれども、Howの部分を構築するのはKJ法などで沢山出して構築していくしかないのかも。。。

【読了】ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図 (アスキー新書)

ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図 (アスキー新書)

ソーシャルという言葉がFacebookやTwitter、Google+など様々なソーシャルメディアとともに重要視されていることは言うまでもないのですが、一方でそのソーシャルを利用したPRや実施するキャンペーンを行う人は旧態依然と全く変わっていないという日本の現状に対し、強烈なインパクトを与える本だと思います。

世界的PR会社が導入するソーシャルインフルエンスの発揮プロセスとして紹介されているのが、以下です。

1. EXPOSURE(露出)
2. ENGAGEMENT(関与)
3. INFLUENCE(影響)
4. ACTION(行動)

それぞれのプロセスにおいて測定可能な指標を用意することになりますが、それぞれのプロセスについてPESO、つまりPaid、Earned、Shared、Ownedを掛けあわせて考えます。


Paid:企業にとって第三者に所属し、購入可能なあらゆるコンテンツ
Earned:企業にとって第三者であるマスコミやブロガーなどに影響を与えて生成してもらうコンテンツ
Shared:消費者がコントロールする、ソーシャル・ネットワーク
Owned:企業がコントロールできる、主にウェブ上のプロパティ

この考え方は日本でも適用され始めているようですが、まだまだ従来のPR手法にとらわれている人にとってはテレビや雑誌、各種広告などによるEXPOSUREで留まっていたり、「いいね!」が押された数やリツイート数のみを指標として追っていたりする人たちの割合が大きいと思われます。

そういったメディアアングルプランニングではなく、コンテクストプランニングがいかに重要かが本書内で述べられているわけです。

そこで重要なのが「自分ゴト」「他人ゴト」という考え方です。


また、インフルエンスという部分に着目した場合は「自分ゴト」「仲間ゴト」「世の中ゴト」という概念が重要です。

自分ゴトとは世の中にあふれる大量の情報の中で、「自分のための情報(商品)である」と感じるもの。仲間ゴトとは仲間なら誰でも知っている状態のこと。世の中ゴトとは誰と話しても多くの人が興味関心を持っている状態の事を示します。

単純に自分ゴトの場合でも関与が強い場合と、弱い場合では人の行動は大きく異なります。


本書を読んでいて一つ感じたのは、インターネットそのものが「自分ゴト」、つまり自分の興味関心ゴトばかり見るようなメディアであり、ソーシャルメディアでもTwitterやGoogle+のコミュニティといった、緩い集まりの場合は「自分ゴト」となる、その話題に対して高関与な人の集まりが形成されやすいのではないかと言うことです。

もちろんそのコミュニティ等で全員を網羅しているわけではなく、そして興味が無いと思っている人でも「自分ゴト」化することが出来る事を考えれば、それを意識したコンテンツをEXPOSUREしていくとして企画する必要が出てくるわけですが、ソーシャルインフルエンスを生み出す土壌・環境は現在、結構整えられているのではないかと思った次第です。

ソーシャルの中でインフルエンスを持つ人と会話をし、仲良くなることでお互いに深く知り合い、強制することなく自然とEXPOSUREする。そんな流れを作り出すことが出来れば、よりリーチする人数が増えるでしょう。

ユーザーを「コンテンツ」や「メディア」という概念で捉えるのではなく、再度「消費者」「顧客」として捉え、エンゲージメントの定義を再度捉え直し、コンテクストプランニングというものを考えさせられる。そんな良書でした。




ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図 (アスキー新書)

【読了】ザ・ディマンド 爆発的ヒットを生む需要創出術

ザ・ディマンド 爆発的ヒットを生む需要創出術


爆発的ヒット・・・iPhoneなどいくつかの商品が頭に浮かぶかもしれませんが、過去の事例をもとに、その爆発的なヒットのポイントをまとめたのが本書です。

本書ではディマンドを生み出す人を「ディマンド・クリエーター」として、その人が共通して考えるプロセスを大きく6つにまとめています。

1.マグネティック:機能面と情緒面の「魅力」が需要を生み出す
2.ハッスルマップ:時間とお金を無駄にする「欠点」を明らかにする
3.バックストーリー:「見えない要素」で魅力を強化する
4.トリガー:人々を「夢中」にさせ、購買の決断を下してもらう
5.トランジェクトリー:魅力を「進化」させ、新しい需要層を掘り起こす
6.バリエーション:「コスト効率の高い製品多様化」を図る

副題的に書かれた部分だけでは内容が非常につかみにくいのだが、1のマグネティックとは飛び抜けた機能性を備えていたり、UIや製品デザインなどから来る感情的な結びつきによって"この商品を気に入ってる!"という状況を作り出す事を指します。

本書では
M(マグネティック) = F(機能) × E(感情)
と表されています。

2のハッスルマップに関しては、ユーザーの期待を裏切る、ユーザーが不満とする軋轢というハッスルをいかに把握するかが重要だということです。そこで考えるべきは一言で言えば「デザイン」ですが、その中には機器デザイン、経験デザイン、ビジネスデザイン、サービスデザインなど様々なデザインというものが存在します。アップルなどのワンクリック・ワールドと呼ばれる概念は特にその意識が高く、顧客の要望の一部しか満たさない新製品に関しての評価は非常に低く位置づけられている。

3のバックストーリーは、そのままですが、新しい技術やサービス、デザインだけで直接ディマンドに結びつくことはなく、セレンディピティや運、そしてバックストーリー要素も含めて初めて爆発的ディマンドに結びつくことが多い事が書かれています。

4のトリガーもそのままの意味ですが、様子見客をマグネティックな製品に心から惹きつけ、顧客へと変えるために必須となるのが、このトリガーです。
カーシェアリングサービスで有名なジップカーで言えば、そのシェアされている車がいかに自宅から近くにあるかという「密度」、キンドルで言えば「書籍への瞬間的なアクセス」、ネットフリックスで言えば「配送速度」、ネスプレッソで言えば「トライアル」にあたります。

5のトランジェクトリーはディマンドの潮流を作り出すだけではダメで、その顧客の上がり続ける期待に応え、さらにその期待を超えるためにひたすら改善し続ける事を示します。人はサービスに触れることで初めてその欲求や不満に気づく事も多いわけですが、ディマンドによる潮流を作り出すことで、そこから生まれる顧客の声を無視することはできません。新たなハッスルマップによって顧客が離れたり、ライバル企業に先を越される事は十分に考えられます。より大きな潮流へと変化させるためにはトランジェクトリーが必須となるわけです。

6のバリエーションは簡単にいえば、セグメントもしくはワントゥーワンマーケティングにあたるものです。顧客をいくつかのグループに分け、そのセグメントごとにサービスを変化させたり、路面店のような1顧客、1顧客に対してサービスを行うという考え方です。この場合もそのセグメント、その1顧客ごとにハッスルマップを作成することが重要になります。

このようにディマンドクリエーターは、ある程度共通したポイントを外さず施策を実行するわけですが、最大の障壁はサービスローンチです。
顧客のハッスル・マップを充分に理解し、そのハッスルを改善して顧客の暮らしを大幅に向上させたいと思うのであれば、すべてのバックストーリー要素を特定して所定の場所に配置することが必要だと述べています。

またローンチを成功させディマンドを創出している人は、決して賭けをしようとはせず、バットを振った時はヒットという考え方をし、「品質」を最も重視します。そしてトヨタのプリウスの例として書かれているが、複数のアイディアを作り出し、それを現実的な競争という外的圧力を加え、最も良いデザインを選ぶ(自然淘汰)というプロセスで失敗を防ぐ事も重要なのです。

以上のように、サービスデザインについて色々読んでくると、目的を示すディマンド(WHY)を満たすために外してはならないポイントがいくつかあるわけですが、リーンスタートアップ的な考え方とスタートアップ時のデザインを複数用意するなどが重要であることがわかります。

ディマンドについての書ですが、本書のなかで少しハッとしたのが新薬をアメリカ食品医薬品局(FDA)に認可を得るために「メルク」という企業がFDAに対する発想を転換したという部分です。新薬を通すためと考えた場合、通常FDAは敵として、コントラリアン的態度で望むわけですが、「メルク」のバジェロス氏は従来の「できるだけ波風立てずにFDAにとやかく言わせないためにはどうしたらいいか」という考え方から、「この大切な顧客は決断を下すためにどのような情報を必要としているのか」という考えに転換したのです。

この考え方はウェブサービスや他の様々なサービスデザインでも当てはまりますよね。
サイトやサービスを利用するユーザーがその場で決断を下すためには、どのような情報を必要とし、どのように見せることが必要なのでしょうか?

その部分も踏まえ、再度デザインというものを捉え直したいところです。


ザ・ディマンド 爆発的ヒットを生む需要創出術